ケバエ科Bibio gracilipalpus

・191112
場所：六甲山山頂近くの電灯
体長：6mmほど
同定参考：前回のケバエ科と同じく、”Revision of the Japanese Bibionidae” Hardy and Takahashi 1960を参照しました。
jalan-jalan.hatenadiary.jp
前回のケバエと同じ日に捕獲したケバエが別種だという結果がわかり、ケバエ熱があがってきました！

前回のケバエより小さく、腹部も細い。

亜科・属検索

1. Radial sector（Rs脈）は2つに分かれる。脚部は単純 >2
1-Rs脈は枝分かれしない。前脚脛節に大きな棘毛、または2つ以上のトゲの集まり >ケバエ亜科Bibioninae 4.

翅脈

翅脈　名称入れ

Sc脈は枝分かれせず。

4. 前脚脛節に2つ以上のトゲの集まり >Dilophus
4-前脚脛節の頂点に1対のトゲ >Bibio

前脚脛節のトゲ

前回のケバエ（Bibio metaclavipes）のトゲが内側外側ほぼ同じような長さだった一方で、今回は長さの違いが顕著です。こちらもBibio属になりました。

Bibio属から種を検索

1.前脚脛節のトゲは鋭い <2
1-前脚脛節の外側にあるトゲは頂点が丸みをおび、鈍い。両性とも大きくあまり光沢のない黒色の種 <ハグロケバエtenebrosus

2.r-m脈はRs脈基部の少なくとも1/2、通常Rs脈以上 <3
2-r-m脈は非常に短い、Rs脈基部のおよそ1/4。翅は灰～茶に色づき、前縁に沿って暗褐色を呈する。オスのからだは全体的に黒く、メスの中背板と腹部は赤褐色。両性とも脚部は全体的に黒色 <メスアカケバエjaponicus

3.前脚脛節内側のトゲは外側のトゲとほぼ同じ長さ <4
3-内側のトゲは明確に外側よりも短い <29

前脚脛節のトゲは鋭く、r-mとRsは同じくらい。内側のトゲは短いので29に飛びます。

29.Rs部分の基部はr-m脈のおよそ2倍。腿節は赤褐色で他の脚部は黒。前脚脛節の内側のトゲは外側の1/2。翅は均等に淡褐色に色づく。大きな種で、翅長8.75-10.7mm ＜pomonae isasugensis
29-Rs部分の基部はr-m脈と同等かやや短い。脚部は上記のように色づかない。翅はsingularisでのみ茶色になる。小さな種 <30

先ほど述べたとおり、r-mとRsは同じくらい。脚部は真っ黒。30へ。

30.翅は均一に暗褐色、翅縁部や基部を含む。前脚脛節の内側のトゲは外側のものより約2/3の長さ。全体的に黒い種。口肢は短く、幅の2倍の長さ（♀のみが知られている） ＜singularis
30-翅は透明または半透明で、全体的に褐色になることはない。後縁が黄褐色となり基部が色づく場合、茶色ではない。内側のトゲは外側よりも1/2以下、medianusを除く。翅が褐色となるときはメスの脚部は赤褐色となる<31

翅はやや色づくので判断に困る。

口肢。先端の節は細長い

口回りから、口肢が短いとは言い難い。31番へ。

31.オス <32
31-メス <37

複眼が大きいのでオス。

32.後脚基付節はスレンダーで円筒形。幅より4倍長い <33
32-後脚基付節は顕著にもりあがる。幅より3倍長い。基付節は脛節の端の幅とほぼ等しい <34

基付節

この辺の名称が曖昧なので違うかもしれませんが（今更！）付節の基部の形状を訊かれています。論文の図と見比べると34へ飛びます。

34.平均棍のこぶは茶から黒。胸部の山は黒。腿節は全体的に黒い <35
34-平均棍は黄色。脚部は全体的に赤褐色。胸部の山はほとんどが黄色 ＜flavihalter

平均棍は黒。胸部も脚も全体的に黒いので35へ。

35.中脚および後脚脛節は赤褐色。口肢の最終節は幅より2-2.5倍長い。後脚はfig20,cのようにスレンダー <36
35-脚部は光沢のある黒。口肢の最終節は幅より5-6倍長い。後脚が長くスレンダー。fig16,bのように ＜gracilipalpus

脚部は光沢のある黒でした。堅そう。口肢も長く、gracilipalpusに落ちました。めでたし。
他のサイトに載っているものと見比べても合ってそう。