キノコバエ科Exechia属sp.

Exechia sp.
ハエ目キノコバエ

・200120

f:id:jalan_jalan:20200121002637j:plain
200120


場所:大阪の北のほう。竹林の崖状になった露地
体長:5mm

同定参考:”Manual of nearctic Diptera vol.1”
知ってる人は知っている、有名な論文。1981年
今回の主役のキノコバエ科のみならず、様々なハエ目を調べることができる。信憑性は知らないが、如何せんネットから無料で落とせるのでありがたい!
dl.ndl.go.jp
ツノキノコバエを科として扱うか、この論文では亜科として扱われているのでその辺の差への注意は必要なようです。
またガッツリと同定してみましょう。適当和訳です、悪しからず。

1+ 翅は短く、腹部の約半分・・・2.Sciophilinae
1- 翅は通常のサイズ、腹部と同じくらい・・・3

翅は通常サイズです。翅の短いキノコバエっているのね。

3+ M脈とCuA1脈は、短くつながるか融合したM脈とCuA1脈によって、明瞭なbm-cu脈とh脈のレベルを超えてはっきりと接続される・・・4
3- M脈とCuA脈は、h脈かそれにほど近いレベルのほとんど根元のほうで連結する・・・22

f:id:jalan_jalan:20200121011316p:plain
翅脈お絵かきしました。ちょっと汚くなった…。 
和訳が意味不明ですが、Mの根元とCuAの根元がぶつかる部分が翅の付け根に近いので、22番へ飛びます

22+ Rs脈とR1脈はh脈のレベルから分離する;M脈を束ねる部分(幹)は消失;CuA1とM脈の枝は翅の端にではく離した?脈として存在する。口器は長くスレンダー、頭長の数倍の長さ・・・Lygistorrhininae Lygistorrhina
22- Rs脈はh脈を超えたところでR脈より明確に生じる;M脈の幹は存在または消失。口器は通常頭長よりも短い;もし口器が長くスレンダーなら、M脈とCuA脈ともには全体的に、普通に二股になる・・・23

22+は蚊のような顔写真がのっています。この時点で23へジャンプです。翅脈はM脈の根元がはっきり存在しフォーク状になっているのでこっちも23へ。

23+ M脈の幹は消失;M脈の枝は存在し翅の端にばらばらに配置される。頭は胸部の端の前方に挿入され、小盾板と背側で同じ高さの位置に突き出し、強く後方に向けられた剛毛を目の後方に備える。前胸には多数の短い毛があるが明確な剛毛はない・・・Manotinae Manota
23- M脈の幹は存在するが、ときおり弱い。頭は胸部の端の前方下部に挿入され、小盾板と背側で同じ高さに伸びない、目の後方には強く後方に向けられた剛毛は無く、前胸に明瞭な剛毛を有する・・・24

M脈の幹(M1とM2に分かれる手前部分のことですね)ははっきり存在し、頭の後ろ側には特に剛毛のようなものはみられません。24へ。

f:id:jalan_jalan:20200121012029j:plain
顔拡大

24+ 翅の膜質部には微毛が不規則に並ぶこともあり、あったりなかったりするか、微毛が消失したりする(?);Sc脈は変異し、C脈かR脈に到達するか消失する;R2+3はあったりなかったり。Laterotergiteに毛があったりなかったり。単眼の位置は変異し、目のふちから離れる・・・25.Sciophilinae
24- 微毛は常に存在し、特に翅の縁近くでは、翅の長辺に沿った列に規則的に並ぶ;微毛は常に消失、多くても肛門付近;Sc脈はR脈に到達するか消失する;R2+3は消失する;Laterotergiteは毛を有する。後方の単眼は目のふちに接触する・・・74.Mycetophilinae

この辺から翻訳がかなり怪しい。あったりなかったり?翅の脈と脈の間の膜質部を顕微鏡でよーくみると、規則正しく微毛が並んでいました。R2+3はありません。Laterotergiteは体の側面の中胸部から小盾板の下側に位置するあたりをいうみたいですが、図のあたりに毛がビンビンと生えているので、毛ありということで。

f:id:jalan_jalan:20200121012206j:plain
整列した微毛
f:id:jalan_jalan:20200121012807p:plain
laterotergite??
何気にびっくりしたのが、単眼の位置。目の上のたん瘤が如く、単眼が複眼の縁にありました。なんの役に立っているんだろう・・・?ここでMycetophilinaeという亜科に落ちまして、74まで一気にジャンプ
f:id:jalan_jalan:20200121013214p:plain
単眼が複眼の上に!「目の上のたん瘤」だ!

74+ Anepisternumに毛はないか短い毛がある・・・75
74- Anepisternumには少なくとも縁の上部に丈夫な剛毛をもつ・・・85

anepisternumは中脚の上部当たりの体側エリアを指す言葉のようです。先ほどLaterotergiteを見た際、ほかに目立った毛は見られませんでした。75へ

75+ C脈はR4+5脈をはっきりと超える・・・Anatella
75- C脈はR4+5の終端で終わる・・・76

C脈の終わりっていろんなハエでキーになってますよね。翅脈に戻ると、C(外周の太い部分)はR4+5でおわっていました。76へ。

f:id:jalan_jalan:20200121011316p:plain
翅脈

76+ CuA脈の分岐点はM脈の分岐点を超える・・・77
76- CuA脈の分岐点はM脈の分岐点より前または反対側・・・78

疲れてきました、続いてCuA脈の分岐点と、M脈の分岐点の位置関係を聞かれています。今回はM分岐がより翅の付け根側にありました。よって「CuA脈の分岐点がM脈分岐点を超える」です。77へ。

77+ R4+5は縁で後方に曲がる;Sc脈はR脈で終わる。後脚脛節の背側表面が斜めにとがっている;頂部の背側の表面には大きな三角の光沢のあるくぼみをもつ・・・Exechiopsis
77- R4+5はほぼまっすぐ;Sc脈は消失していくかR脈に到達する。後脚脛節の背面は横にとがる;頂部の背面に小さな三角形のくぼみをもつ・・・Exechia

R4+5は曲がっているようにも見えますが、論文中の図ほどは曲がっていません。後脚脛節をみても、光沢のある?くぼみはみられません。Exechiaじゃないのかな・・・??という感じでゴールです

f:id:jalan_jalan:20200121015129j:plain
後脚脛節。びみょう。

以上、キノコバエ同定してみた、でした。種レベルになると交尾器うんぬんになってくると思いますが、あまり興味がないので(えっ)やりません。
念押ししますが、間違っているかもですのでお気を付けください。
ではでは。

※ 当ブログの同定は間違っていることがあります。ご注意いただくとともに、コメントなどでご指摘いただければ幸いです。万が一、当記事の情報により生じたトラブルに対して一切責任を負いかねます。写真の二次利用もご遠慮ください。