キノコバエ科Mycomya属sp.

キノコバエMycomya sp.

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200120

場所:大阪の北のほう。竹林の崖状になった露地
体長:5mm

同定参考:”Manual of nearctic Diptera vol.1”
前回キノコバエの同定記事を書きました。
jalan-jalan.hatenadiary.jp
Exechia属になりましたので「一応捕まえたほかのキノコバエも一緒の属だろー」と安易に思ってました。
ちゃんと捕まえておくもんです。ちゃんと調べてみるもんです。
なんと別の属でした、っていうか別亜科でした。同じ場所同じ日同じ時間で捕まえたのに!
翅脈を見ると、中室のような空間が。R2+3脈が横切り明らかに前回の子とは違う様子です。また調べてみましょう。
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翅脈

前回同様、日本語が変ですがフィーリングで理解してください()

1+ 翅は短く、腹部の約半分・・・2.Sciophilinae
1- 翅は通常のサイズ、腹部と同じくらい・・・3

翅はふつう、3へ

3+ M脈とCuA1脈は、短くつながるか融合したM脈とCuA1脈によって、明瞭なbm-cu脈とh脈のレベルを超えてはっきりと接続される・・・4
3- M脈とCuA脈は、h脈かそれにほど近いレベルのほとんど根元のほうで連結する・・・22

合流点は翅の根元のほうです、22へ

22+ Rs脈とR1脈はh脈のレベルから分離する;M脈を束ねる部分(幹)は消失;CuA1とM脈の枝は翅の端にではく離した?脈として存在する。口器は長くスレンダー、頭長の数倍の長さ・・・Lygistorrhininae Lygistorrhina
22- Rs脈はh脈を超えたところでR脈より明確に生じる;M脈の幹は存在または消失。口器は通常頭長よりも短い;もし口器が長くスレンダーなら、M脈とCuA脈ともには全体的に、普通に二股になる・・・23

口器は控えめサイズ。M脈もフォーク状なので23へ

23+ M脈の幹は消失;M脈の枝は存在し翅の端にばらばらに配置される。頭は胸部の端の前方に挿入され、小盾板と背側で同じ高さの位置に突き出し、強く後方に向けられた剛毛を目の後方に備える。前胸には多数の短い毛があるが明確な剛毛はない・・・Manotinae Manota
23- M脈の幹は存在するが、ときおり弱い。頭は胸部の端の前方下部に挿入され、小盾板と背側で同じ高さに伸びない、目の後方には強く後方に向けられた剛毛は無く、前胸に明瞭な剛毛を有する・・・24

M脈を束ねる幹部分はしっかり見られます。24へ

24+ 翅の膜質部には微毛が不規則に並ぶこともあり、あったりなかったりするか、微毛が消失したりする(?);Sc脈は変異し、C脈かR脈に到達するか消失する;R2+3はあったりなかったり。Laterotergite(下図)に毛があったりなかったり。単眼の位置は変異し、目のふちから離れる・・・25.Sciophilinae
24- 微毛は常に存在し、特に翅の縁近くでは、翅の長辺に沿った列に規則的に並ぶ;微毛は常に消失、多くても肛門付近;Sc脈はR脈に到達するか消失する;R2+3は消失する;Laterotergiteは毛を有する。後方の単眼は目のふちに接触する・・・74.Mycetophilinae

今回単眼がうまく観察できませんでした。
R2+3が存在するので、24へ。前回との分岐点です。Sciophilinae亜科になりました。

25+ 脛節の剛毛は規則正しい縦の列に並ぶ。単眼は顔面中央に互いに接近する。翅には微毛がない・・・26
25- 脛節の剛毛は不規則に並ぶ。単眼の位置は変異する;側面の単眼はときおり目のふちに近い。翅の膜部には微毛があったりなかったり・・・28

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脛節の毛
脛節の毛が整然と並んでいるか。ここではsetaeと呼称しています。果たして細かい毛のことを言っているのか、数本生えている毛を言っているのか…??論文の画像を見るに26へ飛びます。

26+ R2+3は無い;R1はM脈の分岐点でまたは前で終わる、r-m脈とほぼ同じ長さ;r-mはほとんど水平;Sc脈は非常に短く、R脈で終わる・・・Aphrastomyia
26- R2+3は存在する;R1脈はM脈の分岐点をはるかに超えて終わる、r-m脈の少なくとも6倍の長さ;r-mはだいたい横向き;Sc脈は長く、CまたはR脈で終わる。2つの単眼がある。Laterotergiteには毛がない・・・27

翅脈に戻ります。

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翅脈
R2+3があるので27へ

27+ C脈はR4+5脈の終端をわずかに超えて伸びる;R4+5は翅の端にわずかに届かない;翅の膜質部にはR4+5脈とM1脈の間に偽の脈がある;翅には黒いマークが目立つ・・・Neompheria
27- C脈はR4+5の終端で終わる;R4+5は翅の終端で終わる;翅の膜質部にR4+5脈とM1脈の間の偽の脈が無い;翅にはマークがないまたはぼんやりと曇る・・・Mycomya

やっとゴールです。C脈はR4+5でぴったり終わってます。R4+5とM1の間にしわっぽいものがある気がしますが、脈というには微妙。翅に模様もなく、Mycomya属でおわりです。

まだ3体捕獲したキノコバエがいますが、さらに別の属がいるのか!?大変だ・・・

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